鹿島建設(中国)有限公司 天津分公司

依然、建設ブームに沸く中国。中でも勢いが目覚ましい天津において、ゼネコン大手の鹿島建設はKajima Corporation (China) Co.,Ltd Tianjin Office(鹿島建設(中国)有限公司 天津分公司)の設置を決めた。大手顧客の工場建設を進める中で、さらに新しい案件も獲得するなど、立ち上がりは順調だ。総経理の小俣悌二氏に現状と今後の展開について聞いた。

‒‒ 天津では、どのような業務をしているのでしょうか。

鹿島建設(中国)有限公司は、鹿島建設の中国における現地法人です。2003年に設立しました。本社は上海にあります。現在、総合建設業ライセンスの、国家1級資質を保有しております。このライセンスは、受注規模制限等はありますが、当社の営業対象である工場建設等はほぼすべて請け負うことができます。

西青経済技術開発区にオフィスを構えているのは、鹿島建設(中国)有限公司の分公司、日本で言うところの支店になります。天津は大きな都市ですので分公司を設けないと、ゼネコンの業務はできません。ただし、制限があって、外国資本が50%を超える企業の案件しか受注できません。我々は中国にとって外資系企業ですので、政府系の仕事などができない仕組みになっているのです。

‒‒ 天津に分公司を設けたきっかけは何ですか。

一番大きかったのは、我々の大きな顧客であるユニ・チャームさんが天津に進出することを決めたことです。ユニ・チャームさんは、中国の生産拠点としてまず上海に工場を建設、中国市場に供給するものを主に上海工場で生産しています。拡大する中国市場に対応するため、現在第3工場まで拡張させています。

その上海での増産が限界に近づき、ユニ・チャームさんが中国の第2拠点として選択したのが天津です。上海と並んで大都市である北京の近くの天津を選択したわけです。我々はユニ・チャームさんの上海工場建設のお手伝いをしていたのですが、天津工場の建設にあたっても幸いなことに声をかけていただきました。ユニ・チャームさんの天津工場の計画は非常に大規模なものなので、是非、協力させていただきたいとお願いしました。

一方で、この天津の経済発展というのが、現在、とても早いというのも決め手の一つです。現在、陰りが出てきたとはいえ、まだまだ中国の経済成長は目覚しいものがあり、さらに天津はその中でも1、2を争うほど勢いがあります。また、天津には郊外を含めると約1000万人が住んでいる大きな都市で、日本企業も製造業が200社以上進出しています。日本人学校もあるなど日本人社会もできており、まだまだ日本企業の進出も増えると予測できました。そのような事情があり、鹿島建設として上海の次の拠点として相応しいとの判断に至り、天津に分公司を設立しました。

‒‒ 実際に天津に進出してみて感想はいかがでしょう

お伝えしたように、ユニ・チャームさんの案件をいただいていたので最初から仕事は決まっていたのですが、他の仕事もすぐに決まりました。今は三つの案件が平行して走っているような状況です。

このように、いろいろな意味で活動が盛んであるというのが天津のイメージです。実際、製造業においても電子産業、自動車産業、医薬産業などが非常に盛んで、我々もここでしっかりと着実に成果を上げていくことが重要だと考えています。

鹿島建設は2003年に現地法人を設立しましたが、2008年ごろまではさほど売上が伸びませんでした。ここ数年は、それが倍々で伸びております。その勢いを持続させるためにも、この天津での活動に懸命に取り組んでいきたいと考えています。

‒‒ 事務所は西青経済技術開発区に構えています。

ユニ・チャームさんが西青経済技術開発区への工場建設を決めていたので、我々も西青経済技術開発区へ事務所を設置しました。雇用の点などから、事務所は市内に設けたほうがいいだろうという話もありましたが、顧客の近くという利便性を選択しました。西青経済技術開発区では、日系企業用の事務所棟を用意してくれていたので、そこへの入居を決めました。そこに300m2の事務所を構えています。もっとも、事務所にはあまり人はおらず、ほとんどの人間は現場に常駐していますが。

我々は、自分達の工場を建てているわけではないのですが、顧客の工場を建設するにあたって、西青経済技術開発区にはいろいろな点で支援をいただいています。実際に土地の購入を決め、操業を開始するには、多くの手続きがあります。ゼネコンが関わる部分でも図面の審査やガスや電力などインフラ設置の審査などのステップを確実にこなしていかなくてはなりません。これらのステップに手間取っていると、顧客がいくら操業時期を明確にしていても、それに間に合わなくなってしまいます。その点、西青経済技術開発区は手続き関係を強力にバックアップしてくれますから、個々のリードタイムを短くしてくれます。

‒‒ 西青経済技術開発区に何か要望はありますか

今でも進出してくる企業にとっては魅力のある開発区ですが、是非もっと魅力のある開発区にしていってほしいです。そして、日系企業だけでなく、アジアや欧米系の企業も多く誘致していただきたい。進出した企業の業績が伸びれば、後から来る企業も増えますし、その際に鹿島のチャンスも増えることになります。チャンスを自分達のものにするためには、我々は顧客の要望にしっかりと応えられる仕事をしたいと思っています。

天津で採用した従業員はとてもまじめで、仕事を素直に吸収しようという姿勢が感じられます。我々もそのような従業員と、そして西青経済技術開発区と共に、成長していきたいと思っています。

小俣 悌二 様

鹿島建設(中国)有限公司天津分公司 総経理